賃貸でもトイレの交換はできる?|オーナー様も入居者様も共に知っておきたい基礎知識

しかし、トイレが故障したり交換の必要が生じたりしたとき、誰が対応すべきなのか、どのような手順で進めるべきなのか、疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、賃貸住宅におけるトイレ交換の基本的な考え方について、オーナー様・入居者様の両方の視点からわかりやすくご紹介していきます。
トラブルを未然に防ぐためにも、ぜひ知識として参考にしてみてくださいね!
賃貸物件におけるトイレ交換の基本知識

賃貸のトイレ交換でまず確認すべきこと
まず大前提として、トイレなどの設備は「物件に付随する設備」であるため、基本的にはオーナー様の所有物となります。そのため、入居者様が勝手に交換や修理を行うことは原則として認められていません。
まずは「管理会社」または「オーナー様」に連絡することが重要です。
また、以下のような点もあわせて確認しておくと、スムーズに対応が進みます。
・現在のトイレの種類(洋式/和式、一体型/組み合わせ型 など)
・故障や不具合の具体的な内容(水漏れ、水が流れないなど)
・入居時に交わした契約書における修繕に関する特約の有無
「修繕義務免除特約」などの条項がある場合、オーナー様ではなく入居者様が費用負担を求められるケースもあります。
まずは状況の整理と確認がトラブル回避の第一歩です。
交換費用は誰が負担する?オーナーと入居者の違い
原則:オーナー負担
たとえば、タンクの部品が摩耗した、便座が古くなって不具合が起きたなど、自然な消耗による場合が該当します。
例外:入居者負担
たとえば、「物を落として便器を割ってしまった」「異物を流して詰まらせた」といったケースです。
また、先ほど触れた「修繕義務免除特約」が契約に含まれている場合も、入居者様の負担となることがあります。契約書の内容は細かく確認しておきましょう。
経年劣化と故意・過失の判断基準とは

経年劣化の目安:使用から10年以上
特に、タンク内部のパーツや温水洗浄便座(ウォシュレット)の故障は、使用開始から10年前後で多く見られます。
メーカーも修理部材の保有期間を「生産終了後7年」としているため、それを過ぎると修理自体ができない場合も。こうしたケースでは「経年劣化」とみなされ、オーナー様の負担での交換となることが一般的です。
故意・過失とみなされる例
・誤って携帯電話や芳香剤などの異物を落として詰まりを起こした
・小さなお子さまが遊んでいて異物を流してしまった
・不適切な洗剤などを使用してパーツを劣化させた
こうした行為が明確な場合は、入居者様側での修理費用負担となる可能性があります。
トイレの交換・修理にかかる費用と相場感

ここでは、入居者側・オーナー側それぞれの目線から、よくある修理や交換工事の費用相場をご紹介します。また、和式から洋式への変更など、大規模工事が必要なケースの目安についても取り上げます。
入居者側の修理費用の目安
以下は、一般的なトイレの不具合に対する修理費用の目安です(※あくまで目安であり、地域や業者によって異なる場合がありますのでご注意ください)。
工事種類 | 費用の目安 |
---|---|
水漏れの修理 | 6,000円~15,000円程度 |
水が止まらない場合の修理 | 6,000円~10,000円程度 ※タンク取り外しが必要な場合は11,000円~30,000円になることもあります |
水が流れない(詰まり)対応 | 6,000円~10,000円程度 |
また、入居者自身の希望によってウォシュレットの取り付けや便座の交換を行いたい場合も、基本的には自己負担となります。その場合でも、事前にオーナーや管理会社に許可を取ることが必要です。
オーナー側の交換費用・リフォーム費用の目安
トイレ本体の費用
トイレの種類 | 費用の目安 |
---|---|
組み合わせトイレ | 約5万円~25万円程度 |
一体型トイレ | 約5万円~15万円程度 |
タンクレストイレ | 約15~35万円程度 |
特に古い物件では、床の補強や給排水設備の更新も必要になることがあるため、事前の現地調査が欠かせません。
トイレ交換によるメリットと空室対策への効果

中でもトイレは、入居者の快適な暮らしに直結する設備であり、老朽化したままでは物件の印象を大きく損なう可能性もあります。
実は、トイレ交換は単なる修繕にとどまらず、「空室対策」や「収益性の向上」にも直結する、戦略的なリフォームといえるのです。
ここでは、トイレ交換がもたらす具体的なメリットを3つの観点からご紹介します。
入居率・満足度の向上につながる理由
賃貸物件を探している入居希望者が重視するのは、間取りや立地だけではありません。水まわりの清潔感や使いやすさも、物件選びに大きく影響します。
特に「トイレ」は、日々使う設備であるだけに、古く不衛生な印象を与えると敬遠される要因になりかねません。
実際に、賃貸経営に関する調査では、「計画的に水回りの設備を更新しているオーナーの約3割が高い入居率を確保できた」と回答しています。
また、入居希望者が物件を選ぶ際に重視するポイントとして、「台所・浴室・トイレの快適性」が常に上位に挙げられています。
トイレの機能性がアップすれば、生活の満足度も向上し、長期入居につながることも期待できます。ウォシュレット付きや節水機能付きのトイレなど、ちょっとした快適性の違いが他物件との差別化にもなり、結果として空室リスクの軽減にも寄与します。
リフォームによる家賃アップの可能性
「トイレの交換にコストをかけても回収できるのか?」というご質問をよくいただきますが、実はトイレのような生活密着型の設備更新は、家賃設定にも好影響を与えることがあります。
もちろん大幅な値上げは難しいかもしれませんが、ウォシュレット付きやタンクレストイレといった付加価値のある設備を導入することで、月額1,000円〜3,000円程度の家賃アップが実現した事例もあります(※あくまで目安です)。
特に競争の激しいエリアや築年数の経った物件では、「新しいトイレがついている」というだけで印象がガラリと変わります。内見時の第一印象を左右する重要なポイントとして、水回りのリフォームは、コストを“投資”と捉えることが成功の鍵と言えるでしょう。
計画的な修繕によるコスト削減効果
設備の故障は、タイミングによって対応コストに大きな差が出ます。たとえば、入居中にトイレが故障し、急ぎで修理や交換が必要になった場合、緊急対応の手配や工事スケジュールの調整、仮設トイレの設置など、追加の手間と費用が発生しやすくなります。
一方で、空室期間中にあらかじめ交換やメンテナンスを行っておけば、スケジュールにも余裕があり、割高な緊急対応費用を抑えられるだけでなく、業者側との価格交渉もしやすくなります。
また、設備には寿命があるため、「あと何年使えるか」という視点でリストを作成し、計画的に更新していくことは、中長期的な経費の平準化にもつながります。
将来的に必要となる修繕費用を見越して、空室時や大規模修繕のタイミングでトイレもまとめて更新しておくと、トータルでのコスト削減が可能になります。
賃貸オーナーが知っておきたい費用削減のコツ

そこでこの章では、賃貸オーナー様が知っておくことで「費用を抑えながら効果的なトイレのメンテナンスができる」3つの実践的な方法をご紹介します。
すぐに取り入れられる工夫ばかりですので、ぜひ今後の物件管理にお役立てください。
便座だけ交換という選択肢
特に「組み合わせトイレ」を設置している場合は、便器・タンク・便座が独立しているため、便座部分だけを新しいものに取り替えることが可能です。たとえば、次のような便座があります。
●暖房便座:15,000円〜30,000円程度
●温水洗浄便座(ウォシュレット):45,000円以上〜
※金額はすべて目安であり、機能やメーカーによって異なります。
便座のみの交換であれば、工事も簡易で、内装への影響も最小限に抑えられます。また、入居者の満足度を高めながらコストを抑えることができるため、管理・運営のバランスが取りやすい方法といえるでしょう。
特に、ウォシュレットを導入するだけで「この物件は清潔で快適そう」という印象を与えることができ、他物件との差別化にもつながります。
補助金制度の活用方法

国や自治体では、特定の条件を満たす住宅リフォームに対して費用の一部を補助する制度を用意しています。
国の代表的な制度:子育てエコホーム支援事業
●節水型トイレへの交換
●バリアフリー化(手すりの設置や段差解消 など)
地方自治体の独自制度もチェック
●東京都品川区の「住宅改善工事助成事業」
●千葉県の「下水道接続支援事業」
などがあり、汲み取り式から洋式トイレへの交換や節水設備への更新などに活用できることがあります。
申請には条件や手続きがあるため、事前に自治体の公式サイトや窓口での確認が必要です。面倒に感じるかもしれませんが、補助金を使うことで数万円〜十数万円の費用軽減が可能になることもあるため、見逃せない制度です。
DIYはどこまで可能?注意点も解説

しかし、賃貸物件においては「DIY=自由にやっていい」というわけではありません。
原則:オーナーの許可が必要
原状回復の義務にも注意
DIYが可能なケースとおすすめの対応
●電気工事や配管を伴わない範囲に限定する
●作業完了後の動作確認と報告を義務付ける
●原状回復の有無と保管義務について契約書に明記する
といったルールづくりが安心です。
特に水回りのトラブルは、小さな漏水が大きな損害につながるリスクもあります。不安がある場合は、DIYを認めず、信頼できる業者に依頼するのが賢明です。
入居者からの要望によるトイレ交換の進め方

しかし、入居者の自己判断で設備を交換してしまうと、契約違反や原状回復トラブルの原因になることもあります。
ここでは、入居者からトイレ交換の希望があった場合の適切な対応方法について、ポイントを絞って解説します。
大家さんの許可を得る重要性
また、水回り設備は構造や排水経路にも関わるため、不適切な施工によって水漏れやトラブルが発生した場合、損害が大きくなるリスクも否めません。
したがって、入居者から交換の希望があった場合は、以下の流れを徹底することが大切です。
・希望内容を文書で確認(メールやLINEでも可)
・設置予定の商品、施工方法、費用負担の明確化
・必要に応じて契約書に追記、あるいは同意書を交わす
「軽微な変更だから」と曖昧にせず、必ず許可制で対応することがトラブル回避の基本です。
原状回復の有無で大きく変わる対応
原状回復が必要な場合
この場合、入居者自身が撤去・旧設備の保管・再設置の費用負担を行う必要があります。便器やタンクなどの本体まで交換した場合は、保管スペースの確保や再施工の手間も発生します。
特にウォシュレットなど電源を必要とする便座の場合、電気配線工事やコンセント増設をしていると、回復工事の範囲が広がる可能性もあります。
原状回復が不要な場合
一方で、オーナー様が「そのままでよい」と判断した場合、新しいトイレ設備の所有権は原則としてオーナー様に移ります。これはたとえ入居者が費用を全額負担していたとしても同様です。
つまり、入居者の満足度を上げつつ、間接的に物件の価値が向上するというメリットも生まれるのです。ただし、この場合も書面などで取り決めを残しておくことが望ましいです。
ウォシュレット交換で満足度アップ
ウォシュレットは暖房便座・温水洗浄・脱臭機能などが搭載された高機能便座で、現在では賃貸住宅でも導入されるケースが増えています。特に冬場の冷たい便座を嫌う方や、高齢者・女性の方からのニーズは高めです。
オーナー側から提案するのも効果的
築年数が経過した物件で、空室が続いている場合などは、入居者希望を待つ前にオーナー側から導入を検討することもひとつの手です。
1台あたりの本体価格は約45,000円〜(※目安)ですが、物件のイメージアップや家賃アップの可能性を考えると、非常にコストパフォーマンスの良いリフォームといえます。
原状回復もしやすい
入居者からの設備交換要望は、上手に対応すれば「入居満足度向上」「空室リスクの軽減」「物件価値の向上」と、オーナー様にとっても多くのメリットをもたらします。
ただし、ルールや契約の確認は必須です。感覚に頼ることなく、明確な取り決めのもと、安心・安全な設備管理を心がけましょう。
まとめ:スムーズなトイレ交換のために

トイレは毎日使う大切な設備ですが、交換となると費用や手順、誰が負担するのかなど迷うことも多くあります。
特に賃貸物件では、オーナーと入居者それぞれの立場が関係するため、トラブルを避けるには事前準備が欠かせません。
まず重要なのは、現在のトイレのタイプや排水方法、設置スペース、契約書の修繕義務や原状回復の内容、補助金制度の有無といった基本情報の把握です。
そのうえで、信頼できる業者を選ぶことも大切。賃貸実績があり、保証やアフターサービスが整っていて、入居者への配慮ができる業者であれば安心です。
また、トイレ交換を「費用」ではなく「投資」として捉える視点も必要です。
使いづらい古いトイレでは入居希望者の印象が悪くなり、空室リスクも高まります。
反対に、清潔で快適なトイレは満足度を高め、家賃アップや長期入居にもつながります。トイレ交換は戦略的に行うことで、賃貸経営の質を上げる有効な手段となるのです!
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