排水溝の構造とは?排水口・排水管との違いや水の流れを解説
●「排水溝の中はどうなっているの?」
●「排水口から流れた水は、どこへ行くの?」
など、疑問に感じたことはないでしょうか。
普段は何気なく使っている排水設備ですが、実際には水を流すだけではなく、嫌な臭いや害虫の侵入を防ぐ仕組みも備えています。
この記事は、住宅の排水溝の構造を理解するうえで知っておきたい、排水口、排水管、排水トラップ、排水桝の役割について解説する内容です。
さらに、場所によって異なる構造や、つまり・臭い・水漏れが起こる原因、お手入れの方法まで紹介します。
排水溝・排水口・排水管・排水桝の違い
「排水溝」という言葉から、地面にある溝だけを思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、住宅の排水設備は一つの部品だけで成り立っているわけではありません。
水を受ける場所から排水管、屋外のますまで、それぞれが役割を分担しています。
まずは似た言葉の違いを知り、全体の仕組みをイメージしてみましょう。
排水溝と排水口はどう違う?
住宅の「排水溝」と「排水口」は、同じものとして扱われることがありますが、厳密には役割が異なります。
排水口は、キッチンのシンクや洗面台、浴室などで、水が排水設備へ入っていく入口です。
一方、排水溝は浴室や屋外で水を集めて流す溝状の部分を指す言葉として使われることがほとんどです。
特に屋外では、建物の周囲や敷地内に設けられた溝へ雨水を集め、側溝や排水管などを通して下流側へ流します。
道路や敷地の排水では、側溝や集水桝なども使われます。
国土交通省の土木工事に関する仕様書でも、
●側溝
●管渠(かんきょ)
●集水桝(しゅうすいます)
●マンホール
などが排水構造物として扱われています。
そのため、「排水溝の構造」を調べるときは、屋内の排水口を指しているのか、浴室などの溝を指しているのか、屋外の側溝を指しているのかを分けて考えることが大切です。
排水管が水を屋外へ運ぶ仕組み
排水口や排水溝で集められた水は、そのまま地面へ流れていくわけではありません。
多くの場合、排水管を通って下流側へ運ばれます。
たとえばキッチンでは、シンクに流した水が排水口から排水トラップを通り、その先の排水管へ進みます。
排水管は床下などを通り、屋外に設けられた排水桝などへつながる構造です。
排水管は、単純に水を通すだけではありません。
適切な勾配をつけることで、水が自然に下流へ流れるようになっています。
自治体の排水設備基準でも、排水管の設置方法や、ますとの接続方法などについて細かな基準が設けられています。
水が流れにくい、排水時にゴボゴボと音がするなどの症状がある場合は、排水口だけでなく、その先の排水管まで原因を探ることが大切です。
排水桝が排水管をつなぐ役割
屋外にある丸型や四角型のフタを見かけたことはないでしょうか。
これが排水桝です。
排水桝は、
●住宅内から出た排水を受ける
●複数の排水管をつなぐ
などの役割があります。
横浜市の説明でも、敷地内にあるますは管でつながっており、最終的に接続ますから公共下水道へつながる構造が示されています。
排水桝には、排水管の途中を掃除しやすくする役割もあります。
つまりが起きたとき、屋内だけを見ても原因が分からない場合には、屋外の排水桝に汚れや異物がたまっていないか確認することで、原因を絞り込めるでしょう。
排水口の構造と役割
住宅の排水設備は、場所によって形が違って見えても、基本的な考え方には共通点があります。
水を受け、異物をある程度せき止め、臭いや害虫の侵入を防ぎながら排水管へ送り出すという流れです。
ここでは、キッチンや洗面所、浴室などをイメージしながら、排水口周辺の構造を見ていきます。
ゴミ受けが異物をせき止める仕組み
排水口に設置されているゴミ受けは、小さな部品に見えても重要な役割を担っています。
キッチンなら野菜くずや米粒など、浴室なら髪の毛などが排水管へ流れ込むのを抑えます。
これらが大量に排水管へ入ると、内部に引っかかったり、油や石けんカスと絡み合ったりして、つまりにつながることがあるのです。
自治体の排水設備に関する基準でも、固形物を含む汚水を排出する場所には、固形物の流下を止めるスクリーンを設けることが定められています。
家庭では、ゴミ受けを毎日軽く洗うだけでも、排水管へ流れ込む汚れを減らせます。
掃除の負担を大きくしないためにも、使い終わった後にゴミを取り除く習慣をつけるとよいでしょう。
排水トラップが臭いや害虫を防ぐ仕組み
排水設備の中でも特に重要なのが、排水トラップです。
排水トラップには水がたまる部分があり、この水を「封水」と呼びます。
封水が排水管側との間に壁のように存在することで、下水側からの臭気や害虫などが室内へ入り込むのを防ぐ仕組みです。
横浜市の排水設備要覧でも、排水トラップは封水によって臭気、ネズミ、害虫などの侵入を防ぐ目的で設けるものとされています。
つまり、排水口の下に水が残っているのは、必ずしも異常ではありません。
むしろ、その水が正常に保たれることで、防臭の役割を果たしているのです。
一方、長期間使っていない排水口では、水が蒸発して封水がなくなることがあります。
すると、下水側の臭いを感じやすくなる場合があります。
場所によって異なる排水トラップの特徴
排水トラップは、設置する場所や器具によって形状が異なります。
一般住宅では、キッチン、洗面台、浴室などにそれぞれ異なる形のトラップが使われることがあります。
形だけを見ると複雑に感じますが、基本的な役割は「水をためて臭いや害虫の侵入を防ぐこと」です。
キッチンで使われる排水トラップ
キッチンでは、シンクの下に排水トラップが設置されています。
キッチンは、料理による油や食材カスが流れやすい場所です。
そのため、排水トラップやゴミ受けには汚れがたまりやすくなります。
排水トラップにたまった汚れをそのままにすると、ぬめりや臭いの原因になることがあります。
また、油汚れが排水管へ流れ、管の内側に付着することで、水が流れにくくなる場合もあります。
キッチンの排水設備を長く使うには、油をそのまま大量に流さないことが基本です。
調理器具に残った油は、紙などで拭き取ってから洗うだけでも、排水管へ入る油の量を抑えられます。
洗面台で使われる排水トラップ
洗面台の下にも排水トラップが設けられています。
洗面台では、
●髪の毛
●皮脂
●石けん
●歯磨き粉
などが排水へ流れ込む仕組みです。
これらが少しずつ積み重なると、トラップ内部にぬめりが生じ、水の流れが悪くなることがあります。
洗面台の場合は、目に見えるゴミが少なくても内部まで汚れている可能性があります。
「最近、水が流れるのが遅い」と感じたら、排水口のゴミを取り除くだけでなく、トラップ部分の汚れにも目を向けてみましょう。
国土交通省の公共建築設備工事標準図には、排水トラップや掃除口、排水金物など、排水設備を構成する複数の部材が示されています。
浴室や床に使われる排水トラップ
浴室では、床に流れた水を集めて排水管へ送るための排水口や排水溝が設けられています。
浴室では、
●髪の毛
●石けんカス
●皮脂
などが流れ込むため、キッチンとは違った汚れ方をする場所です。
特に髪の毛は排水口のゴミ受けに絡みやすく、そのまま放置すると水の流れを妨げることがあります。
また、床排水には排水トラップが使われる場合もあります。
国土交通省の標準図にも、床排水トラップや床上・床下掃除口などが設置されています。
浴室の排水口は、見える範囲だけをきれいにするのではなく、ゴミ受けやトラップ周辺まで定期的に掃除することが大切です。
こうしたお手入れによって、臭いやつまりの予防につながります。
キッチン・浴室・屋外で異なる排水設備の特徴
排水設備は、どこに設置されているかによって求められる役割が変わります。
キッチンでは油、浴室では髪の毛、屋外では雨水や土砂など、流れ込むものが異なるからです。
同じ「排水」という言葉でも、実際の構造やお手入れ方法には違いがあります。
キッチンの排水口には油汚れがたまりやすい
キッチンの排水設備で特に注意したいのが油です。
調理中に使った油をそのまま排水口へ流すと、排水管の内部に付着するおそれがあります。
流した直後は液体でも、配管内の温度が下がると固まりやすくなり、そこへ食材カスなどが付着することもあります。
少量の油でも、長い期間にわたって繰り返し流せば、排水管内部の汚れが増えていく可能性があるでしょう。
そのため、揚げ物などで使用した油は排水口へ流さず、適切な方法で処分することが大切です。
フライパンや食器についた油は、洗う前にキッチンペーパーなどで拭き取る方法もあります。
浴室の排水口には髪の毛がたまりやすい
浴室では、髪の毛がつまりの原因になりやすい傾向があります。
シャンプーや洗髪の際に抜けた髪の毛は、排水口へ流れます。
ゴミ受けがあればそこで止まりますが、細かな髪の毛は網を抜けて奥へ進むこともあるのです。
さらに石けんカスや皮脂などが加わると、髪の毛同士が絡み合い、まとまりやすくなります。
浴室の排水口は、入浴後に髪の毛を取り除くだけでも汚れの蓄積を抑えられるでしょう。
毎日の作業を数十秒程度に抑えることで、大掛かりな掃除の回数も減らせます。
屋外の排水溝には落ち葉や砂が入り込みやすい
屋外の排水溝は、屋根や敷地に降った雨水などを集め、安全に流す役割があります。
雨が降ると、屋根や地面に落ちた水は低い方向へ流れます。
その水を側溝や排水溝、集水桝などへ集め、排水管などを通して下流側へ流す仕組みです。
国土交通省の排水構造物に関する資料でも、側溝、管渠、集水桝、地下排水などが排水施設の構成要素として扱われています。
屋外の場合は、落ち葉や土、砂などが入り込みやすいため、室内の排水口とは違った管理が必要です。
排水口から「公共下水道」までの水の流れ
排水口から流れた水が、その後どこへ向かうのかを知っておくと、トラブルが起きたときにも原因を考えやすくなります。
住宅内から屋外へ出た排水は、排水管や排水桝を経由し、最終的には公共下水道などへ流れていく仕組みです。
ただし、雨水と汚水の流し方は地域によって異なります。
住宅内の排水が屋外へ流れるまでの仕組み
一般的な住宅では、キッチンや浴室、洗面所などの排水口から流れた水が、それぞれの排水管へ入ります。
その後、床下などにある配管を通り、屋外の排水桝へ向かう流れです。
複数の排水管が排水桝でつながり、さらに下流側の桝へ排水が進んでいく構造もあります。
最終的には、公共下水道などへ接続されます。
横浜市も、
●台所や風呂場
●トイレなどから出る汚水
●宅地内に降った雨水
などを公共下水道へ流すための宅地内の排水管や汚水ます、雨水ますなどを排水設備として説明しています。
排水桝が排水管の流れを支える仕組み
排水桝が設けられている大きな理由の一つが、排水設備を管理しやすくすることです。
排水管だけが地中に長く続いていると、途中でつまりが発生したときに作業しにくくなります。
そこで、必要な場所に桝を設け、配管の合流部分や方向が変わる場所などを管理しやすくするのです。
排水桝のフタを開けられる構造なら、内部に汚れや異物がたまっていないか見られます。
ただし、桝の中に大量の汚れがある場合や、排水が逆流している場合は、無理に作業せず専門業者へ相談するほうが安心でしょう。
公共下水道へ排水が流れるまでの仕組み
住宅の排水設備は、公共下水道へつながることで、家庭から出た水を下水道へ送る役割を担うものです。
横浜市では、排水設備を、台所やトイレなどの汚水や敷地内の雨水を下水管へ流すための設備と説明しています。
排水方式には、汚水と雨水を一緒に流す合流式と、別々に流す分流式があり、地域ごとに異なる仕組みです。
この違いは、住宅側で排水する方法にも関係するポイントといえるでしょう。
特に雨水は、地域のルールによって流す先が異なるため、排水設備を新設・変更する際には自治体の基準に沿った対応が求められます。
排水設備のトラブルを防ぐお手入れ方法
排水設備は、目立った異常が出てから対処するより、普段から汚れをためないことが大切です。
とはいえ、毎回大掛かりな掃除をする必要はありません。
場所ごとの汚れやすい部分を知り、無理なく続けられる方法を取り入れてみましょう。
排水口のゴミ受けをこまめに掃除する
もっとも手軽にできるのが、排水口のゴミ受けを掃除することです。
キッチンでは食材カス、浴室では髪の毛、洗面台では髪の毛や小さなゴミなどを取り除きましょう。
ゴミを長時間ためてしまうと、ぬめりや臭いが出やすくなります。
汚れが軽いうちに取り除けば、掃除そのものも簡単です。
排水口の部品は製品によって取り外し方が異なるため、無理な力を加えないことも大切です。
外しにくい部品を工具などで無理に動かすと、破損や水漏れにつながることがあります。
排水トラップを可能な範囲で掃除する
排水トラップは汚れがたまりやすい場所ですが、構造によって外し方が違います。
取り外せるタイプなら、部品を外して内部の汚れを洗い流す方法があります。
ただし、パッキンが使われている部分では、傷をつけたり紛失したりしないよう注意が必要です。
また、洗剤を使う場合は、製品の表示に従って使用しましょう。
異なる種類の洗剤を混ぜるのは危険です。
特に塩素系製品などは、ほかの洗剤と組み合わせないよう注意してください。
排水トラップは防臭のための重要な部品なので、掃除後に正しく組み戻すことも欠かせません。
屋外の排水桝を定期的に掃除する
屋外の排水桝は、落ち葉や泥などがたまっていないかを見ておくとよいでしょう。
フタを開けられるタイプなら、まず周囲の安全を確保してから内部を見ます。
ゴミが少量なら、取り除ける範囲で清掃しましょう。
ただし、桝の中に大量の泥がたまっている、排水が逆流している、異臭が強いなどの場合は、無理に奥まで作業しないほうが安心です。
排水設備は地中にも続いているため、目に見える部分だけで原因を判断できないケースがあります。
排水設備でよくあるトラブルと対処の目安
排水設備のトラブルは、突然大きな異常になるとは限りません。
水の流れや音、臭いなど、小さな変化が先に現れることがあります。
いつもと違う状態に気づいたら、そのまま使い続けるのではなく、原因を考えることが大切です。
水の流れが悪いときに確認したいポイント
排水の流れが悪くなった場合、排水口のゴミ受けやトラップに汚れがたまっている可能性があります。
キッチンでは油や食材カス、浴室では髪の毛や石けんカスなどが代表的な原因です。
一方、屋内の排水口を掃除しても改善しないときは、その先の排水管や屋外の排水桝まで原因が及んでいることもあります。
複数の排水口で同時に流れが悪くなった場合は、個別の排水口よりも下流側に問題があると考えられるでしょう。
排水口から嫌な臭いがするときに見ておきたいポイント
排水口から臭いがするときは、いくつかの要因が考えられます。
●排水トラップの封水がなくなっている
●トラップや排水口周辺に汚れがたまっている
●部品の接続部分に問題がある
など、原因はさまざまです。
排水トラップは、封水によって排水管側からの臭気などが室内へ入るのを防ぐ役割を持ちます。
横浜市の排水設備要覧には、封水深についても基準が示されています。
長期間使っていなかった洗面台や浴室などで臭いを感じた場合は、まず封水の状態を見てみましょう。
それでも臭いが続くようなら、トラップ周辺や配管に問題がないか専門家に見てもらう方法があります。
排水管から水漏れが起きたときの判断ポイント
排水管やトラップの接続部分から水が漏れている場合は、つまりとは別の問題として考える必要があります。
原因としては、
●パッキンの劣化や接続部分の緩み
●配管のひび割れ
などが挙げられます。
シンク下の収納部分が濡れている場合、少量だからといって放置するのはおすすめできません。
収納内部や床材に水が染み込むと、別の部分まで傷める可能性があるためです。
水漏れを見つけたら、まず水の使用を控え、漏れている場所を把握しましょう。
床下や壁の内部など、見えない部分から漏れているケースでは、早めに専門業者へ相談することが安心につながります。
まとめ
住宅では、浴室や建物の周辺などに排水設備が設けられています。
【排水溝】:雨水や床に流れた水などを集め、排水設備へ流すための設備
【排水口】:水が排水管へ入る入口
【排水管】:水を下流へ運ぶ管
【排水桝】:排水管をつないだり維持管理に利用したりする設備
このように、場所によって構造や役割が異なるのです。
排水トラップには封水が設けられ、排水管側からの臭いや害虫などの侵入を抑えています。
排水溝や排水口にゴミや汚れがたまると、水の流れが悪くなったり、臭いの原因になったりすることがあります。
普段から適切なお手入れを行い、水が流れにくい、排水があふれる、水漏れが続くといった異常があれば、早めに専門業者へ相談しましょう。