コーキングとシーリングの違いとは?水回りと外壁で使う材料の違いも解説
「コーキングとシーリングは何が違うの?」「浴室やキッチンの隙間には、外壁と同じコーキングを使っていいの?」と疑問に思ったことはありませんか。
住宅のさまざまな場所で使われているコーキングですが、実際には施工する場所によって適した材料が異なります。
特に水回りでは、水に強くカビが発生しにくいものなどが求められる一方、外壁では雨風や紫外線への対応に加えて、塗装との相性も大切です。
この記事では、コーキングとシーリングの基本的な違いから、水回りで使われるコーキングの特徴、外壁用との違い、劣化したときの症状や補修方法まで分かりやすく解説します。
コーキングとシーリングの違いを理解しよう
まず、「コーキング」と「シーリング」は別々の材料を指しているのかという疑問から整理しましょう。
住宅の補修では、この2つの言葉が使われていますが、呼び方が違うからといって必ずしも別の工事になるわけではありません。
ここでは、
●普段使われている「コーキング」
●建築分野で使われる「シーリング」
この二つの違いと関係について解説します。
コーキングとシーリングは同じ意味で使われることが多い
住宅のリフォームでは、「コーキング工事」と「シーリング工事」という2つの言い方を耳にすることがあります。
どちらも、外壁材の継ぎ目や窓周りなどにペースト状の材料を充填し、隙間をふさいで水などが入り込むのを防ぐ工事を指すことが多いです。
たとえば、外壁の目地に充填されているゴムのような部分が劣化した場合、「コーキングが割れている」「シーリングが切れている」など、業者によって表現が異なる場合があります。
そのため、言葉だけを見て「コーキングは簡易的なもの」「シーリングは専門的なもの」と考える必要はありません。
住宅のメンテナンスでは、呼び方よりも、どこに施工するのか、どの材料を使うのか、現在どのような状態なのかを見ることが重要です。
建築材料としては「シーリング材」と呼ばれる
建築の分野では、「シーリング材」という呼び方が使われています。
現在有効なJIS A 5758では、建築物の構成材の接合部などに充填し、硬化または乾燥することで水密性や気密性を確保する建築用シーリング材について規定されています。
一方、住宅の補修やホームセンターなどでは「コーキング」という言葉も広く使われています。
つまり、一般の方が「コーキング」と呼んでも問題はありません。
専門的な資料や建築業界では「シーリング材」と呼ばれることが多い、と覚えておけば十分でしょう。
大切なのは名称ではなく、施工する場所に合った材料を選ぶことです。
水回りではどのようなコーキングを使うのか?
浴室やキッチン、洗面所などには、水がかかる場所や湿気がこもりやすい部分があります。
こうした場所では、単に隙間を埋められればよいわけではありません。
水にさらされる環境に耐えやすいことや、カビの発生を抑えやすいことなどが求められます。
ここからは、水回りでよく使われるコーキングの特徴を見ていきましょう。
水回りではシリコーン系がよく使われる
浴室やキッチンなどの水回りでは、シリコーン系のシーリング材がよく使われています。
シリコーン系は水に強く、浴室の壁と浴槽の境目、キッチンのシンク周辺、洗面台の取り合いなど、水に触れやすい場所に適した製品があります。
ホームセンターなどで販売されている
●「シリコンコーキング」
●「シリコーンシーラント」
なども、水回りの補修で目にすることがあるでしょう。
ただし、同じシリコーン系でも製品によって用途や性能が異なります。
防カビタイプなど、水回りでの使用を想定した商品もあるため、パッケージやメーカーの仕様を見て選ぶことが大切です。
「シリコーン系なら何でも浴室に使える」と考えるのではなく、施工場所に適した製品を選びましょう。
浴室では耐水性や防カビ性が重要になる
浴室のコーキングは、シャワーや浴槽からの水が頻繁にかかります。
さらに、温度や湿度が高くなりやすいため、カビが発生しやすい環境でもあるのです。
そのため、浴室用として販売されている製品では、防カビ性能を持つものがあります。
特に、浴槽と壁の境目や壁材同士の取り合いなどは、水がたまりやすい場所です。
コーキングが劣化して隙間ができると、そこへ水分や汚れが入り込む原因になります。
浴室のコーキングを補修するときは、単純に色を合わせるだけでなく、水がかかる場所に適した製品なのかという点にも目を向けましょう。
洗面所では水がたまりやすい場所に使われる
洗面所では、洗面台と壁の境目やカウンター周辺などにコーキングが施工されることが一般的です。
洗面台は毎日のように水を使うため、わずかな隙間でも水が入り込むことがあります。
表面が少し黒くなっている程度なら汚れやカビのケースもありますが、
●コーキングそのものが縮んでいる
●コーキングが端から剥がれている
などの場合は、材料の劣化が進んでいる可能性があるでしょう。
水回りは「少しくらいの隙間なら大丈夫」と放置せず、状態を早めに把握しておくことが大切です。
キッチンではシンク周りなどに使われる
キッチンでは、シンクと天板の境目や壁との取り合いなどにコーキングが使われることがあります。
シンク周辺は水がこぼれたり、調理中に汚れが付着したりしやすい場所です。
コーキングが傷んで隙間ができると、水や汚れが侵入しやすくなります。
特にシンクとカウンターの境目に黒ずみや剥がれが見られる場合は、コーキングが劣化している可能性があるでしょう。
ただし、キッチンでも施工場所によって条件は異なるものです。
コンロ周辺など熱の影響を受ける場所では、耐熱性なども含めて製品を選ぶ必要があります。
外壁と水回りでは使うコーキングが異なる
「コーキングなら、家のどこでも同じものを使えるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、水回りと外壁では置かれている環境が大きく異なります。
浴室は水や湿気、外壁は雨や紫外線、温度変化などの影響を受けるため、それぞれの環境に適した材料を選ばなければなりません。
では、水回りと外壁のコーキングの違いについて見ていきましょう。
外壁は雨風や紫外線への強さが求められる
外壁のコーキングは、屋外で雨や風、紫外線にさらされます。
また、外壁材は気温の変化などによって伸び縮みしたり、地震や風によって動いたりすることがあります。
そのため、外壁の目地には、こうした動きに対応できるシーリング材が使われることが一般的です。
外壁では変成シリコーン系やポリウレタン系など、用途に応じた製品があります。
日本シーリング材工業会の製品一覧でも、外装材の目地などを対象としたさまざまな製品が掲載されているので参照しましょう。
水回りで使っているコーキング材を、そのまま外壁に使えるとは限りません。
施工する場所が変われば、求められる性能も変わるのです。
外壁では塗装との相性も大切
水回りと外壁で大きく異なるポイントの一つが、塗装との関係です。
外壁では、シーリング工事と外壁塗装を一緒に行うことがあります。
その場合、シーリング材の上から塗料を塗ることがあるため、塗装との相性が重要です。
一般的なシリコーン系は、表面に塗料が付きにくいという特徴があります。
そのため、外壁塗装を予定している場所にシリコーン系を使用する場合は注意が必要です。
一方、外壁用として販売されている変成シリコーン系などには、塗装を組み合わせることを想定した製品があります。
つまり、「水に強いから外壁にも使える」と単純には判断できません。
外壁では、防水性だけでなく、仕上げまで含めて材料を選ぶ必要があります。
水回りは水への強さを重視して選びます
水回りでは、日常的に水がかかることを前提に材料を選びます。
そのため、浴室やキッチンなどでは、耐水性に優れたシリコーン系の製品が使われることが一般的です。
また、浴室のように湿気が多い場所では、防カビタイプが用意されている製品もあります。
一方で、水回りだからといって、どの場所にも同じコーキングを使えば良いわけではありません。
浴室、キッチン、洗面所など、施工箇所の条件に合った製品を選んでください。
水回りのコーキングが劣化する原因を知ろう
水回りのコーキングは、施工したら永久に使えるものではありません。
毎日の水の使用や掃除、温度変化などによって少しずつ劣化します。
劣化の仕方は施工場所や製品によって異なりますが、いくつか分かりやすいサインがあります。
では、水回りのコーキングが劣化する原因について見ていきましょう。
コーキングにひび割れが入るケース
劣化が進むと、コーキングの表面に細かなひび割れが見られることがあります。
初めは小さなひびでも、時間の経過とともに広がる可能性があります。
特に、浴槽と壁の境目などでコーキングが割れている場合は、そのままにしないほうがよいでしょう。
ただし、ひび割れの原因は材料の劣化だけとは限りません。
下地の動きなどが影響している可能性もあるため、繰り返し割れる場合は原因を調べることが大切です。
コーキングが縮んで隙間ができるケース
コーキングは時間とともに縮み、端の部分に隙間ができます。
特に壁やカウンターとの境目に隙間ができると、水が入り込みやすくなるため注意が必要です。
一見すると小さな隙間でも、水回りでは毎日のように水がかかるため、放置する期間が長くなるほど劣化が進行します。
黒ずみだけを落とすのではなく、コーキングそのものが痩せていないかを見ることもポイントです。
コーキングが剥がれるケース
コーキング材が壁やカウンターから剥がれてしまうこともあります。
端の部分が浮いている、指で押すと動く、隙間から下地が見えるといった状態なら、劣化が進んでいる可能性があります。
剥がれた部分をそのままにしておくと、水が内部へ侵入する原因になりかねません。
特に浴室や洗面所など、毎日水を使う場所では、早めの補修を検討すると安心です。
小さな劣化でもプロに依頼するのがおすすめ
水回りのコーキングはホームセンターなどでも材料が販売されているため、DIYで補修できるケースがあります。
ただし、きれいに仕上げるには古い材料を適切に取り除き、施工する場所をきれいにしてから新しい材料を充填する必要があります。
簡単そうに見えて、実際には下準備が仕上がりを大きく左右します。
水回りのコーキング補修は専門業者に依頼しよう
水回りのコーキングは、水の浸入を防ぐ重要な役割を担っています。
補修には適切な材料選びや古いコーキングの撤去、施工面の処理などが必要で、作業方法を誤ると剥がれや水漏れにつながるおそれがあります。
小さな劣化であっても、状態を正しく判断し、適切に補修するために専門業者へ依頼するのがおすすめです。
小さなひび割れや剥がれも早めに相談しよう
浴室や洗面台などのコーキングに、ひび割れや剥がれ、隙間が見られる場合は、早めに専門業者へ相談しましょう。
表面の傷みがわずかでも、
●施工面との密着が弱くなっている
●目に見えない部分に水が入り込んでいる
などの可能性があるためです。
また、劣化した部分に新しいコーキングを上から重ねるだけでは、十分な補修にならない場合があります。
古い材料の状態や施工箇所に応じて、適切な補修方法を選ぶことが重要です。
広範囲の劣化や下地の傷みには注意が必要
浴室全体やキッチンの広い範囲でコーキングが劣化している場合は、専門業者に点検と補修を依頼しましょう。
特に、次のような症状がある場合は注意が必要です。
●コーキングの奥に水が入り込んでいる可能性がある
●壁や床に変色や傷みが見られる
●補修してもすぐに剥がれる
●ひび割れや隙間が広範囲に生じている
こうした症状は、コーキング材の劣化だけでなく、下地の傷みや施工面の問題が関係している可能性もあります。
表面だけを補修しても、原因が解消されなければ再び不具合が生じることがあります。
劣化の状態や原因を確認したうえで、適切な補修を行うことが大切です。
コーキングの補修方法を知ろう
コーキングの補修には、古い材料を撤去して新しいものに入れ替える方法と、既存材を残して上から施工する方法があります。
どちらを選ぶかは、劣化の程度や施工場所によって変わります。
では、コーキングを補修するときの方法を見ていきましょう。
打ち替えでは古いコーキングを撤去する
打ち替えは、古くなったコーキングを取り除き、新しい材料を充填する方法です。
水回りでは、古いコーキングをカッターなどで取り除き、施工面をきれいにしてから新しい材料を充填します。
古い材料を残さないため、目地を新しく作り直せることがメリットになります。
ただし、撤去作業は手間がかかる工程です。
浴室の壁やタイルなど、周囲の部材を傷つけないよう慎重な作業が必要になる場合もあります。
増し打ちでは既存材の上から施工する
増し打ちは、古いコーキングを残したまま、新しい材料を上から施工する方法です。
施工場所や既存材の状態によっては選択肢になりますが、古い材料が大きく劣化している場合には適さないことがあります。
特に、既存材が剥がれている状態で、その上から新しいコーキングを重ねても、十分な補修にならない可能性があります。
そのため、DIYでも業者工事でも、単純に「上から埋めればいい」と考えないことが大切です。
劣化の状態に合わせて補修方法を選びます
補修方法は、劣化している範囲や場所を見ながら決めます。
●浴槽周りの一部分だけが傷んでいる場合
●浴室全体のコーキングが古くなっている場合
この二つのケースでは、必要な作業も変わってくるでしょう。
また、コーキングが原因で水が入り込んでいる場合は、表面を補修するだけでは十分ではないことがあります。
見た目だけで判断せず、施工する場所の状態を把握したうえで、適切な方法を選ぶことが大切です。
コーキングとシーリングの違いを理解して選ぼう
コーキングとシーリングは、住宅の補修ではほぼ同じ意味で使われることが多い言葉です。
一方で、コーキング材にはさまざまな種類があり、施工する場所によって適した製品は異なります。
特に水回りと外壁では、求められる性能が大きく違います。
水回りでは水に強い材料を選ぶことが大切です
浴室やキッチン、洗面所などでは、水に触れることを前提に材料を選ぶ必要があります。
シリコーン系には水回りに適した製品があり、浴室やシンク周辺などで使われています。
ただし、同じ水回りでも施工場所によって条件は異なるため、製品の用途を確認したうえで選ぶことが重要です。
「コーキング」という名称だけでは、その材料がどこに適しているのかまでは分かりません。
外壁では雨風や塗装との相性が重要
外壁のコーキングは、雨や紫外線を受けながら、外壁材の動きにも対応する必要があります。
さらに外壁塗装を行う場合は、シーリング材と塗料の相性も考えなければなりません。
水回りで使われるシリコーン系は塗料が付きにくいため、外壁に使用する場合には注意が必要です。
外壁では、施工する外壁材や仕上げ方法に合わせて、変成シリコーン系やポリウレタン系などの適した製品を選びましょう。
補修する場所に合わせて材料が異なる
コーキングの補修では、「コーキングなら何でもいい」と考えないことが大切です。
●浴室なら水や湿気
●キッチンなら水や熱
●外壁なら雨風や紫外線、塗装との相性
など、それぞれ考えるべき条件があります。
もし自宅のコーキングがひび割れている、剥がれている、縮んで隙間ができているといった状態なら、まず施工場所と劣化状態を把握しましょう。
水回りの小さな補修ならDIYで対応できる場合もありますが、広範囲の劣化や内部への水の侵入が疑われる場合は、専門業者へ相談するのがおすすめです。
コーキングとシーリングの違いだけでなく、「どこに、どの材料を使うのか」まで知っておくと、住宅の補修を検討するときに役立ちます。
まとめ
コーキングとシーリングは、住宅の補修ではほぼ同じ意味で使われることが多く、建築分野では「シーリング材」という呼び方が一般的です。
ただし、コーキング材にはさまざまな種類があり、施工する場所によって適した材料は異なります。
浴室やキッチン、洗面所などの水回りでは、水に強いシリコーン系の製品がよく使われる一方、
●外壁では雨風や紫外線
●外壁材の動き
●塗装との相性
などを考慮して材料を選ぶ必要があります。
水回りのコーキングにひび割れや剥がれ、隙間などが見られたときは、劣化した部分を放置しないことが大切です。
部分的な補修ならDIYで対応できる場合もありますが、広範囲に劣化している場合や水が内部へ入り込んでいる可能性がある場合は、専門業者への相談をおすすめします。
コーキングを補修するときは、名称だけで判断せず、施工する場所と必要な性能に合った材料を選ぶことがポイントです。